2021年のJ1リーグは、早々に川崎フロンターレの連覇が決まった。一方で、J2降格チームも2試合を残して決定した。大分トリニータ、ベガルタ仙台、横浜FCは、来季をJ1で戦うことはできない。
クラブの行く末を大きく左右するJ2降格は、どうして避けられなかったのか。さまざまな角度から検証する。
今回の対象は、クラブ史上2度目の降格となった横浜FC。
■ある程度の効果があった夏の補強
夏場、横浜FCはJ1残留へ向けて大胆な手を打った。シーズン途中の移籍市場オープンとともに、5人もの外国籍選手を獲得したのである。その中には、周囲との言葉を使ったコミュニケーションも重要なファクターとなるGKも含まれていた。
このギャンブルとも言える手は、ある程度の効果を発揮したと言っていい。ドイツ代表として東京オリンピックに出場するため来日していたスベンド・ブローダーセンは、中断期間明けの第23節で早速先発出場を果たし、強敵・名古屋グランパス相手の完封勝利に貢献している。スピードに優れるサウロ・ミネイロは横浜F・マリノスとの「横浜ダービー」で2ゴールを挙げ、その他にも危険なシーンをつくり出すなど、実力を披露していた。
それでも、特効薬はJ1残留という結果をもたらしはしなかった。シーズン途中の助っ人加入は、勝利をつかむための最後の1ピースである。それを活かすためにも重要なのは、チームの土台である。
助っ人加入の裏では、正反対の動きがあった。今季加入したばかりの伊藤翔と小川慶治朗の他、開幕戦でスタメンを張るなど序盤は主力としてプレーした田代真一や六反勇治とポジションを争っていた南雄太がシーズン中に移籍した。助っ人大量獲得と対照的なこうした放出は、チームづくりのちぐはぐさを感じさせる。