■失敗した新たなスタイルへの挑戦
昨季までの横浜FCは、2019年にJ1昇格へと導いた下平隆宏監督の下、爆発力はないながら、最終ラインからの組み立ててゲームのコントロールするスタイルを継続してきた。しかし今季は、開幕前から新たに獲得したFWへのロングボールも活用することを目指すなど、新たな方向性を探っていた。
開幕前には、ゴール前へ迫力を持って飛び込むFWが入ったメリットを指揮官や選手らは口にしたが、ふたを開けてみれば開幕6連敗。ようやく1試合で複数得点を奪うのは、第10節のベガルタ仙台戦まで待たなければならなかった。
確かに実績のあるFWを獲得すれば、得点力はアップするように思えるかもしれないが、サッカーでは簡単な足し算は成立しない。瀬沼と皆川、一美、斉藤というオフに退団したFW登録の選手の昨季合計得点は13ゴールだった。一方、今季加入した渡邉と伊藤、ジャーメイン良、クレーベ、小川慶治朗というFW登録5人の今季合計得点は、ここまで10ゴール。
FW登録ではあるがサイドアタッカーとしての起用がメインだった小川の1ゴールどまりは仕方ないとしても、伊藤の無得点はいただけない。さらに、その2人がシーズン途中で移籍していった事実は、チームづくりの失敗を裏づける。