■伊藤「4-3-3の形は前に行きやすかった」

 しかし、特に試合の序盤は、不慣れな部分もあったのか、チーム全体としての守備がうまくはまらない印象だった。追加点の起点を作ったMF関根貴大も、試合後の会見では、「(4-3-3は)練習で試していた形だが、この試合がはじめてだったので、最初はなかなかうまくいかなかった。(ピッチの)中の選手同士で話しながら、我慢してやろうと話していた。押し込まれてしまったが、焦れずにやれた」と話す。

 それでも、前半のうちに徐々に適応しはじめると、ボールを奪える場面が増えてきた。伊藤は、「前半は特に引っかける回数が多かったが、(江坂)任さんの守備の追い方が良かったと自分の中で思っています。自分は左側だったので、チアゴ(マルチンス)選手に任さんがしっかりとコースを消して前に運ばせていたので、自分のところで狙いやすかった。ピッチの中でしっかり整理できた」と、FW江坂任との距離感を意識していたと話す。

 さらに、伊藤は「今日は4-3-3という形で、自分はいつもより一列前だったので、より自由に動ける感覚があった。攻撃の部分では前に行きやすかったし、守備をする位置がいつもより一列前だったので、そのまま前に行きやすかった」と、手応えを述べた。

 高い攻撃力を誇る横浜FMは、安定感のあるビルドアップや素早いカウンターなど、多くの武器を備えている。今シーズンは首位の川崎を常に追随する存在で、リーグ優勝の可能性もあった。実際、4月に行われた前回の対戦では、まだリカルド・ロドリゲス監督の就任直後ではあったものの、0-3で横浜FMに圧倒された。初めての4-3-3のシステム採用だったものの、そんな相手に対して勝ち切れたことは、リーグ終了後に天皇杯準決勝を控えている浦和にとって、大きな布石となったはずだ。

 今シーズンで積み上げてきた成果は確実に力になっている。伊藤は、「残り3試合のなかで、自分たちは勝つしかない。今日は絶対勝ちたいという気持ちでやっていた。(4月の)前期の対戦では、なかなか自分のところでうまくいかずに負けてしまったが、半年経って、成長を見せることができたのではないかと思う」と、自信に満ちた表情で答えた。  

 

■試合結果

浦和レッズ 2―1 横浜F・マリノス

 

■得点

18分 伊藤敦樹(浦和レッズ) 

48分 田中達也(浦和レッズ)

85分 レオ・セアラ(横浜F・マリノス)

  1. 1
  2. 2
  3. 3