■「混沌のるつぼ」であるアジア
いずれにしても、外国人の人名表記というのは編集者にとっては頭痛のタネです。それは世界共通のことでしょうが、とくに漢字、カタカナ、ハングル、アラビア文字、ローマ字、タイ文字、ミャンマー文字等々が混在するアジアはまさに混沌のるつぼです。
ちなみに、ベトナムでは19世紀にフランス人宣教師たちが発明したローマ字表記を使っていますが、もともとは漢字を使っていた国です。11月11日に日本代表の試合が行われたハノイ市は漢字では「河内」と書きますし、国名は「越南」です。ミーディン・スタジアムはベトナム語では「サンヴァンドッ・クォックジャ・ミーディン」と言いますが、漢字で書けば「場運動国家美亭」となります。ベトナム語ではたとえば社会主義が「主義社会」という順序になるので、スタジアム名を日本語風あるいは中国風の順序に書き直せば「美亭国家運動場」。これなら、日本人にもすぐに理解できますよね。
だから、僕は東アジアでは漢字と表音文字の混じり文にすべきだと思っています(日本語の漢字かな混じりのように)。そうすれば、お互いに新聞の見出しくらいは理解できるようになります。