■Jリーグスタート時との大きな違い
そういった事情はあるにしても、「初のプロ・リーグ」と銘打ってスタートしたばかりのWEリーグは観客動員が伸びていないのが現状だ。そして、サッカー・ファンや一般のスポーツ・ファンの注目を集めることに成功したとも言い難い状況となっている。
第8節の試合では、浦和駒場の試合が1846人を集めたが、他の4試合はいずれも700人台から800人台と、いずれも4桁に届かなかったのだ。
「開幕戦」となった9月12日の第1節、I神戸対大宮アルディージャVENTUS戦こそ4123人を集め、第2節では大宮と浦和Lのホームゲームにそれぞれ3400人以上が詰めかけた。だが、その後のWEリーグの入場者数は早くも明らかな漸減傾向にあり、入場者数が2000人に届く試合はきわめて少ないのが現状だ。そして、第8節は全国的に好天に恵まれたにも関わらず、1試合を除いて1000人を集められなかったのだ。
DAZNを除いてテレビ中継もなく、スポーツニュースでも大きく報じられることはない。それが、このリーグの現状だ。
28年前に、「日本初のプロ・サッカーリーグ」としてJリーグが発足した時は、「看板をかけ替えるだけで、これだけすべてが変わってしまうのか」と思わせるほど、試合内容もスタンドの風景も一変し、Jリーグは一種の社会現象にまでなった。
それに対して、女子サッカーのプロ化ではいったい何が変わったのだろうか? 現状は「看板をかけ替えただけ」のようだ。
確かに、中堅どころのチームが、勝負にこだわったサッカーをするようになった気はするのだが……。
選手がプロとなってプレーやトレーニングに集中できる環境に近づいたことで、プレーの内容が上がっていくことも期待したいが、これには長い時間がかかることだ。
はっきりいえば、昨年までのなでしこリーグがトップリーグだった時代と何かが変わったとは思えないのだ。「この現状でプロ・リーグとして運営を続けることができるのか?」と心配になってしまうのは僕だけではないだろう。
何度も言わせてもらうが、試合としてはこれだけの良い内容の試合をしているだけに、非常にもったいない。早く、熱の冷めないうちに、何とかしてほしいものである。