■「浦和ファン」が来られなかった理由

 ゲームの終盤では、さすがに疲労の色が濃くなってはいたが、いずれにしても女子の試合としてはインテンシティ―も高い中、本当に途切れることない攻防が続いた好ゲームだったといえる。

 しかし、残念だったのは、両チームがこれだけの好ゲームを演じたにもかかわらず、この日の公式入場者数がわずか1846人という寂しいものだったこと。新型コロナウイルス感染症の流行とは関係ない。収容可能人数の50%どころか、1800人台ということはキャパシティーの1割にも満たないのだ。そして、DAZN以外のテレビ中継もなかったし、記者席もほんの数人だけ。この試合の好ゲームがメディアで報じられることはほとんどなかったのではないか。

 こういう状況になった原因の一つは、同時刻(11月7日14時03分@カシマサッカースタジアム)キックオフでJ1第35節の鹿島アントラーズ対浦和レッズの試合があったからでもある。J1の優勝ではすでに川崎フロンターレの優勝が決まっていたが、浦和にとっても、鹿島にとってもACL圏内入りもかかっているし、また来シーズンの行方にも関係する大変に重要な試合だ。

 だから、レッズ・サポーターの目もWEリーグには向かなかったのだろう。

 浦和にとって聖地のひとつである浦和駒場スタジアムで行われる三菱重工浦和レッズレディースの試合には、なでしこリーグの時代から熱心なサポーターが詰めかけるのが普通の光景だった。スタンドの応援風景が最も男子の試合に近い会場と言ってもいい。

 ところが、J1の浦和の試合が同時刻ということで、多くのレッズ・サポーターは鹿島まで応援に行ってしまっただろうし、DAZNで観戦をする人も多かっただろう。それで、I神戸との上位対決の試合の入場者数は伸びなかった。

 そして、また浦和駒場の記者席にいつもは詰めている浦和番の記者たちも、この日はカシマスタジアムに行っていたはずだ。

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