■もっと恩返しを

 すると83分、右サイドから原輝綺がクロスを入れると、ペナルティエリア内の中央で反応したサンタナに札幌の守備が集中。しかしボールはそこを越えて背後で待っていた滝に渡った。ボールはゴールに向かっていくのとは逆の足元に入ったが、慌てることなくコントロールしてネットを揺らすことに成功した。滝は恩師に飛びついて喜びを爆発させ、平岡監督もそれをしっかりと受け止めた。

 冒頭の滝の「少しは恩返しができた」という言葉には、こう前置きがあった「これが全てではないが」。

チアゴ・サンタナと喜ぶ滝裕太 清水エスパルス対北海道コンサドーレ札幌(20211106)撮影/原壮史

 そう、これが全てではない。2016年にそうだったように、もともと持っていたゴール前での上手さをこの試合で見せることができた。しかし、平岡監督がユース時代に自分の意識を変えてくれたことで武器になった積極的な仕掛けやスピードで相手をかき乱す姿はまだ見せられていない。残り3試合、降格圏との勝ち点差は3だ。

 2017年のトップチーム昇格の際にも「今まで支えていただいた監督やスタッフ、チームメイト、家族、また応援していただいた皆様に感謝の気持ちを込め、ピッチで恩返ししたい」とコメントを残した滝。もっと恩返しをして、チームを残留に導く。

 

■試合結果

清水エスパルス 2-2 北海道コンサドーレ札幌

■得点

17分 チアゴ・サンタナ(清水)

23分 金子拓郎(札幌)

49分 深井一希(札幌)

83分 滝裕太(清水)

 

PHOTO GALLERY 清水エスパルス対北海道コンサドーレ札幌 20211106
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