■喜田は普段通りだった

 だから、特殊な状況で戦うことになったこの試合でも、最後までピッチではなくベンチで試合を見ることになったとしても、喜田は普段通りだった。ハーフタイムには真っ先にピッチに入って選手たちを出迎え、飲水タイムには水を渡しながら気になる部分を伝え、ベンチ前で声を出し、挨拶では先頭を歩き……決してこの試合だからではない。彼はいつもそうだ。

 誰よりもクラブのことを愛し、結果を欲しているキャプテンは、誰よりも普段通りを貫いた。その姿を見れば見るほど、どうしても思ってしまう。

 こんな試合こそ、終盤のピッチに彼が必要だったのではないか……と。

 もっとも、それは「目の前の試合に全てを懸けて臨んでいる、その積み重ねが今の順位」と口にし、「チームメイトに本当に自信を持っています」(どちらも鳥栖戦前のコメント)と語る喜田にとって不本意なことかもしれない。なにより、それこそ普段通りから外れた話になってしまう。それでも、彼の振る舞いを見るとついそう思ってしまう。

ピッチに足をとられてしまったレオ・セアラ 横浜F・マリノス対ガンバ大阪(20211103)撮影/原壮史

 そんなジレンマに陥るくらい、今年は川崎が強すぎた。マリノスの勝ち点は、34試合で72。これは優勝した2019年のシーズン終了時の成績(34試合で70)よりも上だ。

 それでも、選手たちはより上を目指す。終戦後、扇原貴宏は「力不足。惜しかった、で済ませてはいけない。個人がより高い意識を持つ必要がある」と言い、チアゴ・マルチンスは「毎年プラスアルファがないと、優勝は簡単にはできない」とコメントを残した。

■試合結果

横浜F・マリノス 0-1 ガンバ大阪

■得点

55分 倉田秋(ガンバ)

 

PHOTO GALLERY 横浜F・マリノス対ガンバ大阪 20211103
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