■遠藤はボールの逃げ道を作っているだけではない
その中心にいたのは、やはり遠藤保仁だった。
磐田がペースを握って攻勢を強める時間になると、背番号50はボールに絡むという意味ではそれまでよりも目立たなくなった。前でボールに絡むのは山本康裕の方が多く、遠藤は後方で避難所となって、握ったペースをコントロールして攻勢を続けることを可能にしていた。磐田の選手たちの第1選択肢が『前』でいられるのは、それがダメな時にどうすれば良いかが明確だからだ。
そして、遠藤はボールの逃げ道を作っているだけではない。全体の動きを見て状況把握を欠かさないことで“回ってくる“だけではなく“流れてくる”位置に動いている。
53分、大宮の低い位置でのボール回しをゴンザレスが引っかけると、流れたボールは遠藤の足元へ。ゴールに近い位置での急展開でも、遠藤が当たり前のようにダイレクトで前にいる大森晃太郎へピタリとパスを送ると、そこからゴンザレス、山本と繋げて同点ゴールが生まれた。