■デパイがアラバにボールを奪われてから起こったこと

 32分、バルセロナの攻撃がレアルのペナルティエリア内で混戦になると、メンフィス・デパイがダビド・アラバにボールを奪われる。

 カウンターとなったレアルの攻撃で、ボールは左ウイングのヴィニシウス、右ウイングのロドリゴと繋がり、最後はセンターフォワードのベンゼマの動きに最終ラインにいた2人が共についていったことでガラ空きとなったスペースに駆け上がったアラバへ。フリーの状態から狙い澄ましたシュートが決まり、試合が動いた。

 ボールを奪われたデパイは、当然アラバを追いかけた。ボールがヴィニシウスに渡ってからも、そのまま駆け上がるアラバについていこうとした。しかし、ハーフウェイラインに差し掛かるところでスピードを緩め、アラバを離した。

 奪われたボールを自分で即座に奪い返すことは叶わなかったとはいえ、ボールが渡ったヴィニシウスと対峙したのは、守備的な右サイドバックとして起用されていたオスカル・ミンゲサであり、サイドバックのアラバが駆け上がれば被カウンターで人数も形もイレギュラーになっているところで浮いた選手になるのは明らかだった。

 たしかに、フォワードのデパイにとって、ボールを持っていない選手をそれ以上追うのは役割の外のことだ。しかしそれはあくまでも普通の状況、そして普通の試合での話だ。あの状況、そしてクラシコで見せるべき姿ではなかった。

 ただし、デパイが悪いわけではない。クラシコがクラブにとってどういうものなのか、ということが新加入の選手に浸透しきらない状況になってしまっているということが問題なのだ。バルセロナではなく、レアルに挑戦する1クラブになってしまっていることが。

PHOTO GALLERY ■【図表】エル・クラシコ予想スタメン&フォーメーション
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