■フットサルとサッカーの「プレーの幅」の違い
さて、肝心の松井大輔は途中交代でピッチに姿を現したが、プレー時間は合計でも3分程度だったはずだ。
現役復帰直後で、本人のコンディションもまだ十分ではなかったようだし、やはりチーム内でのコンビネーションを確立していくためには時間が必要なのだろう。
それでも、自らがボールを持った場面ではさすがのキープ力を発揮したし、また積極的にゴールを目指す姿勢は見て取れた。
面白かったのは、松井のボールキープの仕方やフェイントのかけ方が、かつて代表のユニフォームを着ていた頃の松井を思い出させるものであり、それがフットサル専門の選手たちのプレーとどこか違って見えたところだった。
フットサル専門選手たちに比べると、フェイントなどのスピードあるいはタイミングが遅いように見えたのだが、逆に一つひとつのプレーの幅に大きさがあったように感じたのだ。
これから、松井がフットサルの世界で活躍していくためには、フットサル独特のスピード感に対応していく必要があるのだろう。だが、同時に思ったのは「松井のプレーがフットサル専門選手と同じになってしまったのでは面白くないだろうな」ということだった。
松井には、サッカー選手的なスケール感の大きさを生かしながら、フットサルのプレーに順応していってほしいのだ。それが、日本のフットサルに新しい息吹を注ぎ込むことにつながっていくのではないか……。
松井のプレーを見てそんなことを思ったのは、9月から10月にかけてリトアニアで開催されたフットサルのワールドカップを見た直後だったからでもある。