次戦10月12日、豪州戦に勝つために求められる「先発の入れ替え」田中碧、オナイウ阿道…森保監督の「去就」は「オーストラリア戦後」待ち受ける「消去法的選択」【途絶えるW杯出場、落日の日本代表】(2)の画像
田中碧   撮影/中地拓也
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■オーストラリア戦はスタメンの入れ替えを

 サウジアラビアにアウェイの地で、0-1の敗北を喫したサッカー日本代表。では、12日に埼玉スタジアムで行なわれる一戦でオーストラリアに勝つには何が必要か。

 サウジアラビア戦からの4日間で、戦術的なオプションを作れというのは現実的でない。これまでどおりに4-2-3-1での戦いを前提に、ポジティブな変化を作り出すのである。

 シンプルな方法は先発の入れ替えだ。

 サウジアラビア戦は、CBとボランチからの縦パスが攻撃のスイッチにならなかった。柴崎岳ではなく守田英正田中碧を起用していい。ミスをしたから即スタメン落ちということではなく、致命的なミスは序列を変わるきっかけになりうるからだ。

 2列目の右サイドには、伊東純也が復帰してくる。彼を先発で起用し、南野拓実をトップ下へ置く。背番号10がゴール前で足を振れる場面を増やすことが、得点力アップにつながる。南野は中央がいいだろう。

 左サイドは古橋亨梧に託す。右サイドからのクロスにはゴール前へ飛び込んでいくイメージで、彼もフィニッシャーの仕事を意識づけさせる。

 1トップはオナイウ阿道でスタートする。大迫勇也を封じることで日本の攻撃を機能不全に陥れるのは、どのチームも考える日本対策の軸になるものだ。ここは、相手の目先を変えたい。

 フィジカル自慢のオーストラリアにアジリティで勝負するのは有効な手立てで、古橋を1トップに置いてもいい。その場合は左サイドが悩ましいが……。

 森保一監督の去就については、オーストラリア戦を受けての判断になるだろう。サウジアラビア戦の翌日に帰国し、そこから新監督のもとでオーストラリア戦に臨むのは、現実的な対応とは言えない。森保監督を更迭して内部昇格で対応しても、流れを変えることにはならない。

 オーストラリアに負けたら交代へ踏み切るべきだが、後任は誰にするのか。11月には最終予選がある。日本に馴染みのない外国籍の監督の招へいは、コロナ禍ということを考えても困難を極めるだろう。

 そうかといって、(オーストラリアに敗れた場合は)1勝3敗になるチームを引き受け、短時間で立て直すのにふさわしい人材が国内にいるものか。いま現在フリーであることを前提とした、消去法的な手当てになってしまう可能性が高い。それでも、変えることに意味はあるが……。

 最後にひとつ、付け加えておきたいことがある。

 サウジアラビアに敗れた代償は、今回の最終予選にとどまらない。19年のアジア杯と今回の試合を受けて、サウジアラビアはもはや日本を恐れないだろう。リスペクトが先行するような試合はしてこないはずだ。

 サウジアラビアだけではない。オマーンにホームで敗れ、サウジアラビアにも屈した日本は、アジアにおけるプレゼンスが急激に下降している。次世代の戦いにも、影響が及んでいくだろう。代表チームが成績とは、それだけ大きな意味を持つのである。

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