■一時モニターに「VAR」の画面が浮かび上がるも…
「後半の立ち上がりから一気に仕掛けてくれて流れが変わった」と指揮官が話すように、後半開始わずか数秒で決定機を作る。
旗手怜央から縦のスルーパスを受けたマルシーニョが、左からグラウンダーのクロスを入れる。それをレアンドロ・ダミアンがペナルティエリアの深い場所でゴールネットを背にして受け、落とす。そこに走り込んできたのは脇坂泰斗。神戸のGKはダミアンに向けて飛びだしており、ゴールはがら空き。この絶好機を脇坂は外してしまうが、このときの“期待感”が等々力劇場を開演に導いた。
前半とは打って変わって川崎がボールを支配。ほぼワンサイドゲームに持ち込む。前節も前々節も逆転勝ち。特に湘南戦はここ等々力で、その光景を5000人近いサポーターが“目撃”している。その“再演”を期待するのは当然だ。
ボルテージが上がった等々力で、サッカーの神様は2つの舞台装置を用意した。
1つ目は、54分に川崎に与えられたPK、もう1つは56分のPKだ。1本目は家長昭博が外したものの、2本目はレアンドロ・ダミアンが決めてみせる。早い段階で試合をイーブンに戻した。
PKはいずれもオンフィールドレビューはなし。一時、等々力競技場のモニターにVARの表示が出たものの、オンフィールドレビューがなされることはなかった。主審の判断ですぐにPKとなり、蹴ることができた。PKは水物。映像や複数の目が入ればどう転ぶか分からない。等々力劇場の熱気が、好展開をもたらしたともいえた。