■C・ロナウドに託された「仕事」
この試合で、C・ロナウドは他に仕事をしなかった。だからこそ、仕事をしたと言えるのかもしれない。
古巣に戻ってきた背番号7は、守備を免除されていた。その分、ブルーノ・フェルナンデスが前線からの守備も担い、C・ロナウドは最前線に立ち続けた。
ただし、その存在感自体が脅威となっている。ボール前で縦パスが入ると、思わず2人のDFが詰め寄る場面があった。運動量は少ないが、これまでの実績とカリスマ性が、相手の注意を引きつけていた。
相手の警戒心を逆手にとったのだろうか。特に前半、C・ロナウドは奥ゆかしかった。少なくとも2つ、ゴール前で自分で打てる場面があった。かつてならば間違いなく右足を振り抜いたシーンで、C・ロナウドはパスを選択した。自分のために働く仲間への、申し訳なさもあったのかもしれない。
だが、最後には自分の仕事を果たす。土壇場での瞬時に決断する胆力、そして期待を裏切らない実行力。まさにスターのなせる業だった。
イエローカードを受けることが分かっていながら、ユニフォームを脱いで、見事な肉体を見せつける。千両役者が仕事をしたわけだが、輝いていたのはC・ロナウドだけではない。