■PK時の正しいポジショニングは?
まあ、サッカーのピッチの広さと自らの暮らしを比較して落ち込んでいても仕方がない。最後に、「ペナルティーアーク」の本来の役割であるPKのときの他プレーヤーたちの位置について考えてみよう。どのチームも、PKのときにキッカーと守備側GK以外の選手がどこに立つのか、なんとなくやっているように見える。その証拠が、「弧」の先端あたりに何人ものプレーヤーが立っていることである。
このポジションは、ほとんど意味がない。GKが正面にはじいたボールならキッカーが拾うだろう。キッカーが拾えないリバウンドの場所を考えると、最も近い可能性が高いのは「ペナルティーアーク」とペナルティーエリアの交点、2カ所ということになる。だから、キックがバーから正面に大きく跳ね返ってキッカーの頭上を越す、ごくまれなケースを想定して「弧」の先端にひとり置いておくにしても、他のプレーヤーたちは、できるだけ「アーク」と「エリア」の交点近くに集中して配置し、こぼれ球を拾えるよう、キックに合わせて狭い「扇形」に広がるようにしたら、リバウンドを拾う率は多少なりとも上がるはずである。
PKの決定率は8割。失敗はGKにキャッチされたり、ゴールの枠を外すものが大半なので、ピッチ内にリバウンドがくる率は5%程度ではないか(ペナルティーアークの詳細についての厳密な計算で精力を使い果たしてしまったため、「リバウンド率」は詳細な調査を怠り、「印象」で書いてしまっていることをお詫びしたい)。
5試合に1回程度というPK。その20回に1回あるかないか、すなわち3シーズンに1回程度の「リバウンド」に対し、ここまで考える必要があるのか―。それはチーム次第である。私はただ、こんな「重箱の隅」のようなことを、あれやこれやと考えるのが好きなだけだ。