9月26日に行われたJ1リーグ第30節。首位を走る川崎フロンターレは16位の湘南ベルマーレを相手に苦戦を強いられた。中盤から激しい守備を仕掛けてくる湘南は上位チームにとって、常に厄介な存在である(事実、川崎も5月26日、第16節のアウェーゲームは1対1の引き分けに終わっている)。
この日の苦戦の原因は川崎の戦い方にあった。
川崎は9月14日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)ラウンド16の蔚山現代戦から10月2日のFC東京戦まで、中3日以内の6連戦という過密日程の中にいる。湘南戦で、鬼木達監督が主力選手数人を休ませてターンオーバーを試みたのは当然の選択だったろう。
だが、使える選手の顔ぶれを見て決めたのだろうが、ツートップ(4-4-2)での戦いを選択したのはどうやら失敗だったようだ。
試合開始直後からボール保持率では明らかに上回った川崎だったが、攻めきれない時間が続く。ツートップが湘南のスリーバック(右から舘幸希、石原広教、杉岡大暉)につかまってチャンスが作れなかったのが最大の原因だった。その分、左サイドハーフの宮城天にボールが回ってくる場面が多くなった。だが、前節の鹿島アントラーズ戦では後半アディショナルタイムに強烈な無回転シュートをたたき込んだ宮城だったが、この日は1本も枠をとらえることができなかった。
そして、カウンターからチャンスを作った湘南が、15分には左サイドで混戦状態を作り、大橋祐紀が抜け出してクロスを入れると、アンカーポジションから走り込んでいた田中聡が決めてリードを奪って前半を終了した。