【クーマン・バルサに未来はあるか?】チームに根付く「クライフ・システム」の神聖視と呪縛【バルセロナにおけるオランダ人監督の功罪】(2)の画像
かつては現ヴィッセル神戸のイニエスタらとともに欧州の頂点に立ったが… 写真:原悦生

 ロナルド・クーマン監督のバルセロナでのセカンドシーズンは続くのか。
 クーマン監督に「2年目」があるのか、すぐには明言されなかった。この夏にリオネル・メッシの退団という衝撃に見舞われたクラブは、それ以上の揺れを嫌ってか、オランダ人監督の続投を決めたが、にわかにその身辺は慌ただしくなっている。
 チームにはオランダ人選手が増え、新たなチームづくりが進んでいる。過去にも、オランダから来た多くの選手と監督が、栄光をもたらした。
 だが、チームの「オランダ化」は、成功に直結するとは限らない。歴史をひも解きながら、バルセロナの未来を占ってみる。

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■クラブに根付く【4-3-3】への信仰

 バルセロナでは何度もオランダ人のタッグによるコーチングスタッフが形成されてきた。バルセロナとの相性の良さがある一方、オランダ人スタッフの頭を悩ませてきた問題がある。布陣の選定だ。
バルセロナにおいて、ヨハン・クライフが提唱した【4-3-3】というシステムは重要視されている。特別な存在ではあるが、様々な意見が出ていることも事実だ。

「現在、4-3-3でプレーするのは非常に難しい。敵陣に入った後、スペースが少ないためだ。その中で早い判断をしなければいけない。今のバルサは若いチームで、その点では改善の余地がある」。現在のチームについてそう語るのは、クライフの下でアシスタントコーチを務めていたカルロス・レシャックである。

 クライフも【4-3-3】に固執していたわけではなかったとの声もある。「ロマーリオの加入で、我々はプレースタイルを変えた。それまでは(ウィングとしてプレーするミカエル・)ラウドルップや(フリオ・)サリナスが前線にも顔を出していたが、ロマーリオが来てからシステムを変更した。監督というのは選手に依存するものなんだ」。“ドリームチーム”の一員だったアベラルド・フェルナンデスは、そう「証言」する。

 現在指揮を執るロナルド・クーマン監督は就任当初、【4-2-3-1】を好んで使っていた。その後、【4-3-3】を経て、【3-1-4-2】にシステムは落ち着いた。

 昨季のバルセロナの1試合平均のボール・ポゼッション率は65%で、セビージャ(61%)やレアル・マドリード(59%)を凌いでラ・リーガ1部でトップだった。ボール保持率だけを考えれば、スタッツ上では文句のつけようがない。

 ただし、問題は「勝てるか」である。ボールを保持して、さらに勝利を重ねているうちは、何も言われない。だが昨季の成績を考えても、クーマンの【3-1-4-2】が、クライフの【4-3-3】ほどにバルセロニスタの心をつかんだとは到底思えない。

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