■韓国の天才児をめぐるあつれき
イ・ガンインは10歳でスペインに渡り、バレンシアのカンテラの入団テストを受けている。1歳年上のF・トーレスやウーゴ・ギジャモンと共にトレーニング参加する形でトライアルを受け、見事合格を果たした。16歳でバレンシア・メスタージャ(Bチーム)でデビューし、17歳でトップチームデビューを飾った。いわば、エリート中のエリートだ。
しかしながらイ・ガンインの起用を巡っては、歴代の指揮官とオーナーが幾度となく対立してきた。顕著な例がマルセリーノ・ガルシア・トラル監督(2017-19年/現アスレティック・ビルバオ)で、選手が経験を積むためにレンタル移籍を勧めていた指揮官と、バレンシアでのスタメン起用を求めていたリムが衝突し、補強の面でも意見が食い違った両者は2019-20シーズン序盤に袂を分かつことになった。
その後、アルベルト・セラーデス監督、ハビ・グラシア監督、ホセ・ボルダラス監督と異なる指揮官がチームを率いたが、最後までイ・ガンインにレギュラーポジションは確約されなかった。イ・ガンイン自身、逐一争いに巻き込まれ、嫌気が差していたかもしれない。若手育成、カンテラ重視、そしてアジアのマーケットを意識していたバレンシアのオーナーの願いはかなわず、イ・ガンインのバレンシア退団が決定した。