【ラ・リーガ分析】バレンシアが久保建英のライバル「韓国の天才児」を手放した理由【久保建英とイ・ガンインがマジョルカで織り成す未来(1)】の画像
昨シーズンの開幕前、トレーニングマッチで対戦した久保(右)とイ・ガンイン(左)。その1年後、2人はチームメイトになった 写真:ムツ・カワモリ/アフロ

 将来を嘱望される2人のヤングプレーヤーが、マジョルカに到着した。
 久保建英とイ・ガンイン。レアル・マドリーとバレンシアから、前者はレンタルで、後者は完全移籍でそれぞれ加入している。
 環境や境遇に共通点も違うもある両者だが、課せられたタスクはひとつ。マジョルカの1部残留に貢献することだ。
 日本と韓国、アジアをリードする両国の希望の星は、スペインで輝くことができるのだろうか。

■104億円に設定された契約解除金

 イ・ガンインはこの夏にバレンシア と契約解除を行い、フリートランスファーでマジョルカ に移籍した。これは驚きの決断だった。

 イ・ガンインはバレンシアではピッチ外の騒動が話題になることが多かった。ただ、その才能に疑いの余地はない。

 バレンシアはイ・ガンインとの契約を解除した上に、将来的な同選手の売却(フューチャーセール)に関しても、なんら権利を有していない。つまり、完全に移籍金ゼロでイ・ガンインを放出してしまったわけだ。

 近年、バレンシアのオーナー、ピーター・リムは若手選手の育成に力を注いできた。その中で大事に育ててきたタレントが、フェラン・トーレスやイ・ガンインといった選手たちだ。

 F・トーレスに関しては、2020年夏にマンチェスター・シティへの移籍が成功している。移籍金固定額2500万ユーロ(約32億円)+ボーナス1200万ユーロ(約14億円)で取引が成立した。ただ、2018年にバレンシアがF・トーレスの契約解除金を1億ユーロ(約130億円)に設定していた事実を鑑みれば、コロナ禍とはいえ買い叩かれた格好になったのは明らかである。

 一方、イ・ガンインについては、契約解除金が8000万ユーロ(約104億円)に設定されていた。F・トーレスと同様の扱いで、バレンシアには当分の間、イ・ガンインを放出する考えはなかったはずだ。

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