世界トップのリーグではないかもしれない。だが、世界で最も危険なリーグであるとも言えるのだ。Jリーグでは競争が熾烈で、前年の優勝チームが降格の危機にあえぐことさえある。この厳しいリーグのラスト10試合を、サッカー取材歴50年以上のベテランジャーナリスト・大住良之が読み解く。
柏レイソル(13位)と14位のガンバ大阪も、まだ安心できる状況ではない。17位の徳島ヴォルティスとの勝ち点差は7である。春先にコロナウイルスの「クラスター」が発生し、3月に予定されていた5試合がすべて延期になった。その後、宮本恒靖監督から松波正信監督に指揮官が交代。
3月にできなかった5試合は7月下旬から8月上旬にかけての「オリンピック期間」に消化し、3勝2敗と悪くない成績だった。しかし6月から7月にかけてウズベキスタンでのACL6連戦、帰国してから猛暑の時期に約1カ月間で9連戦を戦った疲労が出たのか、第25節から3連敗。「降格圏」の横浜FCとベガルタ仙台にいずれも3失点を喫して敗れている。
FWパトリック、FWレアンドロ・ペレイラ、FW宇佐美貴史といったJリーグでも屈指の攻撃陣をもちながら、28合で総得点21。「決定力不足」に悩む湘南ベルマーレ(28得点)、清水エスパルス(27得点)にも遠く及ばないのは、大きな懸念材料だ。
今後の10試合で降格圏の17位以下との対戦は第35節の大分戦ひとつ。優勝を争う横浜FMと川崎の「2強」、さらには「ACL圏争い」の5チーム中4チーム(鹿島、浦和、鳥栖、名古屋)との対戦を残しており、本来の得点力が戻るかに浮沈がかかっている。