■インテルのものだった前半45分間
先述したとおり、インテルの3バックに入ったミラン・シュクリニアルは素晴らしい仕事をしていた。守備面では、周囲とうまく連係しながら、相手攻撃陣に自由なプレーを許さなかった。さらには、その自由度を攻撃面にもつなげ、最終ラインから飛び出して果敢に攻撃参加していた。
最初のチャンスもシュクリニアルから生まれた。右サイドで持ち上がり、中央へ入れたパスから1タッチのプレーがつながり、エリア内からのジェコのシュートへつなげたのだ。
その後も、インテルの攻勢が続く。19分には、今度はジェコと2トップを組むラウタロ・マルティネスがクロスにドンピシャのヘッドで合わせる。43分には、ジェコも負けじとゴール前に飛び込み、枠内にシュートを飛ばしている。
そのいずれの決定機でも、立ちはだかったのがレアル・マドリードの守護神だった。GKティボー・クルトワである。
最初のシュートには最後まで体勢を崩さず、伸ばした右足でシュートを弾いた。その後の決定機でも、焦りを見せることなくシュートを処理した。
後半に入り、一番危なかったのは54分の場面だった。CKをジェコにフリーで合わされたが、クルトゥワが最後の砦となってセーブした。ボールがこぼれた先にいたシュクリニアルは、押し込むことができなかった。この試合のヒーローの座に就いてもおかしくなかったシュクリニアルと、それを許さなかったクルトゥワ。この試合の明暗が、このシーンに凝縮されているかのようだった。