■変な空気になってしまった…
相手に差別しているつもりがないという場合も多いほど、染み付いたものとしてそれはある。だから、欧州から戻ってきたばかりの乾は、この役に適任だった。それに、チームを引っ張る存在としての堂々とした姿を示す絶好の機会でもあった。
意気込みが強かったからこそ、真面目な場面でやらかしてしまったという照れや焦りに対する反応として意図せず笑いが出てしまう。そういう経験は多くの人にあるだろう。この時の乾もきっとそうだった。
結果的に、変な空気になってしまった。
試合が始まると、3日前の雪辱(厚別で0-3)を果たそうとする札幌に、セレッソは何もできなかった。前半に放ったシュートはたった1本。札幌の素早い切り替えとプレスの前に、ボールが前線で収まらなかった。
左サイドに位置していた乾は、中央でボールに触れたり、坂元達裕と左右をチェンジするわけでなく右サイドに動いて人数をかけることで打開しようとしたり、と状況を変えようと様々な試みをしたが、どれも上手くいかなかった。
試合後には「チームとしては、前半ちょっとうまくいかないところが多かった。守備も攻撃も良くなかった。チームだけでなく、自分もそう」とコメントを残した。