【J1分析】試合前のキャプテン・乾貴士の「失敗」とは?【セレッソ大阪対コンサドーレ札幌】「ことごとくうまく行かない日もある」(1)の画像
丸橋祐介へのパスが強すぎて思わず叫ぶ乾貴士 撮影/原壮史
セレッソ大阪VS北海道コンサドーレ札幌の写真

明治安田J1リーグ 第28節 セレッソ大阪vs北海道コンサドーレ札幌 2021年9月11日 18:04キックオフ

 ことごとく上手くいかない日だった。

 FIFAフェアプレーデイズだったこの週末は、試合前に両チームのキャプテンがリスペクト宣言(差別や暴力に反対する姿勢を示す)をすることになっていた。

 セレッソのキャプテンマークを巻いて入場したのは乾貴士だった。

 マイクの前に立った彼は、なぜかいきなり笑いを漏らした。喋り始めても、上を見たり強く目を瞑ったりと様子がおかしい。どうやら、内容を覚えてきたものの、飛んでしまったようだった。

 両キャプテンは宣言が書かれたシートを手にしており、それを見ながら話すことは全く問題ない。しかし、おそらくは“自分の言葉として発した方が、ただ読み上げるだけよりもメッセージとして相応しいのではないか”と思ったのだろう。

  ただ原稿に目を落として読み上げているだけの姿よりも、まっすぐ前を向いて自身の言葉として発した言葉の方が聞いている側に響き、その姿は頼もしく見える。たとえば小野伸二が2015年にした宣言は、今でも語り種になることがあるほど素晴らしいものだった。

 笑うほど焦ったものの、意地もあったのだろう。目を瞑って必死に言葉を見つけながら乾はなんとか宣言を続けた。

 しかし、中盤でとうとう噴き出してしまった。当然、本人だって笑いたかったわけではない。

 日本でも問題になることは多いが、海外に長期滞在すれば否が応でも差別が存在する場面に遭遇することになる。サッカー選手という立場ならばその機会はより多いだろう。日本の比ではないほど多く、気軽にそれはある。

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