浦和駒場のバックスタンド2階席いっぱいに飾りつけが施してあった。カップ戦はまだ日程が残っているが、今シーズンはこの試合で最後だ。
気温30度、湿度75%。だが、無風。
蒸し暑さが異常だった。ちょっと涼し気に見える空の色とは全く違う体感。
選手が少し走り出すともう汗が飛んでいた。
キックオフ前とハーフタイムの2度のピッチ・ウォータリングがこの状況をよくすることはなかった。芝生には吸収せずに白く見える水たまりがあちこちにできただけだった。むしろ、試合前より試合中の方が蒸し暑さを増していた。
そんな中、黒いフェイスガードを付けたキャスパー・ユンカーのゴールが生まれた。15分、関根貴大のシュートをGK大迫敬介が前にはじいたが、これをユンカーが左足で決めた。
ユンカーは目を閉じて、自らのゴールをかみしめるように祝福した。
「ここ数週間はケガや手術で厳しい時を過ごしてきたが、また点が取れてうれしい。でも、チームとしてはベストな戦いができているわけでもなく、一番良いサッカーを見せているわけでもない。それでも勝てるというのはこのチームの力を証明している。結果を残しながらパフォーマンスを上げていきたい」
ユンカーは8月10日の練習で顔面を打撲した。右頬骨骨折。12日に手術を受けて、前節21日の徳島戦で復帰した。それから特注の変わったデザインのフェイスガードをつけているが「格好いいとは思わない。ない方がいい」とユンカーは笑う。
チームに新しいメンバーを迎えた中、ユンカーの8戦ぶり8点目となった復帰弾は浦和にとって明るい材料だ。