■オヤルサバルOUT、ラファ・ミルINが機能しなかった

 スペインも延長前半終了間際に、オヤルサバルに代えてラファ・ミルを投入しました。ブラジルとは対照的に、この交代は結果的にプラスに作用しませんでした。

 オヤルサバルは表記はCFでしたが、最前線で体を張るのではなく偽9番のように、CFのポジションから下りてきてボールに顔を出します。ブラジルのダブルボランチが、自分たちの背後を気にしなければならないポジションを、彼は終始取っていました。

 オヤルサバルが下りていったところへついていくと、最終ラインに穴が空き、ハイラインにし過ぎると背後へランニングされる。同点ゴールもあげた彼はブラジルからするとかなり神出鬼没で厄介だったのですが、ラファ・ミルはオヤルサバルほどにポジションを崩さず、最前線にどしっと構え、パスワークにそこまで入るタイプではありません。ここまでオヤルサバルの対応に苦戦していたブラジルの守備陣からすると、ラファ・ミルが最前線に構えることで「ラファ・ミルを潰せばいい」と役割がハッキリしたと思われます。

 延長戦の途中から出た選手ということを考えると、ラファ・ミルが活動量で貢献できなかったのは痛かったでしょう。チーム全体がかなり疲弊していたので、運動量は欲しかったかもしれません。CFなのでそこまでの活動量は必要ありませんが、自分が中盤の選手なら「もうちょっと顔を出してほしい」と思ったかもしれません。

 オヤルサバルがCFのスペインと、ラファ・ミルがCFのスペインは、攻め筋が変わりました。チームのスタイル上、スペインはいわゆる「ザ・ストライカー」が活躍しにくいのではないかと思いました。

 過去の代表を見てもジエゴ・コスタやモラタ、ラファ・ミルのようなタイプではなく、ビジャやオヤルサバルのように動きが多く、パスワークに関われる選手がいたほうが、チーム全体の得点数は上がる印象です。

 今回の五輪では6試合で9得点を記録しましたが、そのうち5点はコートジボワール戦であげたものです。グループステージの勝利と引分けも、準決勝の日本戦も、このブラジル戦も、すべて1点にとどまっています。ボールを保持でき、相手を押し込むことはできていましたが、どうやって得点を取るのかは、今大会のスペインの課題だったのでしょう。

 日本戦でもきれいな崩しはしてくるけれど、力技でゴリゴリくるわけではなかった。それも、日本に最後まで粘られた要因のひとつかもしれません。この大会だけではなく、ボールがスムーズに保持できるあまり、最後までその流れできれいに崩すことに固執してしまうところは、あるのかもしれません。

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