■なぜか僕の荷物だけ…
こうして、南米予選Ａ組２位となったアルゼンチンは大陸間プレーオフに回ったのです。
すでに代表を引退していたディエゴ・マラドーナは、コロンビア戦の時はスタンドで涙を流しながら観戦していましたが、アルフィオ・バシーレ監督の要請を受けて代表に復帰します。それで、僕はオーストラリアとの試合を見に行こうと思ったのです。
ドーハには、当時恒例だった日本サッカー狂会のツアーを組んで乗り込んでいましたが、当時は中東までの直行便はなかったのでマレーシア航空で帰国の途に就きました。ドーハからドバイまでガルフ航空で移動。そこからクアラルンプール（ＫＬ）経由で帰国するのですが、僕はＫＬで狂会会員の皆さんをお見送りしてシドニーに向かったのです。
「悲劇」の翌２９日の１７時４０分にドバイを発ったマレーシア航空機は朝の７時４５分にＫＬに到着。東京行きは９時３０分に出発しましたが、シドニー行きは夜の２１時発だったので昼間はＫＬを見物。僕は翌３１日の朝１０時にシドニー空港に到着したというわけです。試合はその日の晩です。
さて、シドニー空港で荷物を受け取りにターンテーブルに行ってみると、まだ荷物は出てきていないのに、なぜか僕の荷物だけがポツンと置いてあるではありませんか！
実は、僕の荷物は間違って他の狂会会員の荷物と一緒に成田空港に向かったのです。そして、成田で間違いに気づいた係員がすぐにシドニー行きの便に乗せたので、荷物は早朝にシドニーに着いていたというわけです。
なお、シドニーでのファーストレグではアルゼンチンのアベル・バルボが先制。すぐにアレックス・トビンのゴールでオーストラリアが追い付いて１対１の引き分けに終わり、１１月１７日に行われたセカンドレグ（ブエノスアイレス）では、そのトビンのオウンゴールによってアルゼンチンが勝利して、アメリカ・ワールドカップ出場を決めました。マラドーナは２試合フル出場でした。
