後藤健生の「蹴球放浪記」連載第70回「僕の荷物は……あれっ、もう着いてる!」の巻(1)幸いにもロストバゲージとは無縁の旅人生の画像
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大陸間プレーオフのADカードとばったり出会ったあの人

目を閉じれば、面白い試合を追いかけて、海外を放浪した日々が走馬灯のようによみがえる。いつになったら、再びあのようにバシバシと海外遠征できる環境が帰ってくるのか。不要不急のようではあるが、それは仕事であり、それがない人生なんて……。そういえば、空港のバゲージクレームでは、荷物が無事に回ってくるかとはらはらしながらターンテーブルで待ったものだった――。

■「イタリアから/手ぶらで帰れて/超ラッキー」

 海外旅行に行った時の心配事のひとつが「ロストバゲージ」です。空港に着いて荷物が出てくるのを待っているのになかなか出てこないと、どうしても不安にかられるものです。

「遅くても文句言わないから、出てきてくれ。頼む」と祈るしかありません。

 荷物は空港のチェックインカウンターで預けたら、自分の手を離れてしまいます。乗り継ぎが2回、3回とある場合には各空港の係員が間違いなく(あるいは悪意なく)荷物を扱ってくれるのを祈るしかないのです。

 その点、キルギスの首都ビシュケクのマナス空港のように荷物を自分で飛行機まで持っていくシステムなら安心なのですが……(『蹴球放浪記』第64回「ソ連が建設した無駄に巨大な空港ターミナル」の巻を参照)。

 しかし、これまで僕は荷物がどこかに行ってしまったという体験は一度もありません。

 それに近いことはありました。たとえば1993年10月に日本代表がセルビアに遠征した時のことです。アエロフロート・ロシア航空を利用して、モスクワのシェレメチェボ空港でベオグラード行きに乗り継ぎました。乗り継ぎ自体はスムースでした。しかし、乗り継ぎ時間は短かったので「荷物は大丈夫かいな?」と思っていました。

 で、ベオグラードに着いたら、案の定「あんさん方の荷物は来てまへんで」と言われました。ただ、「そやけど、モスクワからの次の便に乗ってきますさかい心配おまへん」と言われたので、“お仲間”(日本人記者やカメラマン)と一緒に空港近辺で時間をつぶしてから無事にその日のうちに荷物を受け取ることができました。

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