■「キーパーは無理に余計なことしない方がいい」
後藤「そこで0点にキッチリと抑えることができたなら、なにが起きるかは分からない」
大住「あとは、キーパーが余計なことはしない」
後藤「そうそう、まさに余計なことなんだよ。無理に繋ごうとしてミスをするんだから。繋げる時は繋げるべきだけど、無理はすべきではない」
大住「キーパーが切り返して相手をかわすというのを恥と思わないと。リスクを冒してはいけないポジションなんだから、そこまで相手を近づけてしまったことを失敗と感じるべき。しかも自分がボールを持っている時にね。
横浜F・マリノスのキーパーが飯倉大樹から朴一圭に変わった、その違いというのは、そこなんだよね。2人とも同じように前に出て、同じようにボールを受けてパスをする。けど、朴一圭はリスクの一つ手前のところでプレーができていた。それがマリノスの優勝に貢献したと思う。
ああいう風に、後ろからつなぐことと、リスクを冒すというのが全然別物だということを意識しなくてはいけない。これはボランチにも言えることで、ボランチが相手をヒュッとかわすことは恥だと思わないといけないよ。僕はそう思う。
田中碧が相手を引きつけて引きつけてパスを出す時は、そういう風なリスクがないからね。見ていると危ないように見えるかもしれないけど、彼は相手にボールを晒したりはしていないから。ちゃんと後ろ向きにターンをして、しかも何とおりもの選択肢を用意した上で、相手を引きつけているから。リスクを負っていいポジションと、負ってはいけないポジションっていうのがあるということを理解しないといけない」
後藤「ボールを晒してもリスクにならないのが遠藤保仁だよね」
大住「ああ、そうだね。あれは計算ずくでボールを晒しているから」
―チリ戦では、林が立ち上がりからよく走って攻撃を活性化していました。しかし、前半で疲れてしまったのかミスが目立ちましたね?
大住「そうだね、疲れていたね。イングランド戦もそうだったんだけど、彼女は、非常に良いプレーを見せていたけれど、残念なことに1試合続かないんだよ。林だけじゃなくて、チーム全体も強度が1試合続かない」
後藤「そこはやっぱり、もっと攻撃がしっかりして、チームに攻撃の時間を作らないと難しい。すぐボールを拾われて、それを追っかけて。そんなことをしていたら、すぐに疲れちゃう。攻め切るにしても、時間を使うにしても、ボールを奪った後にどうするか、その方向性ができてないのが、あのチームの一番の問題」