■「2階席なら見やすそう」
ブリスベンでは2015年のアジアカップの時は世界的に有名なラグビー場「サンコープ・スタジアム(ラングパーク)」が使われましたが、オリンピックの時はブリスベン・クリケット・グラウンド(BCG)が舞台でした。
クリケットというのは円に近い楕円形の大きな芝生の上で行われます。その芝生の中央部分でサッカーが行われるのですが、スタンドからタッチラインまでがとても遠くなってしまいます。僕が持っていたブラジル戦のチケットはその最前列に近いところでしたから、とても試合など見えそうにありません。
「どうすんべ、かな?」と思って周囲を見回します。2階席なら見やすそうです。でも、2階席に行く階段では係員がいてチケットをチェックしています。僕は、じっと隙を窺っていました。
そうしたら、何かチケット関係でトラブルがあったのでしょう。チケットをチェックしていた係員が全員で1人の観客を取り囲んで話を始めたのです。
「しめた!」
僕は、目立たないようにそーっと階段を上って無事に2階席に辿り着きました。見ると、後列の柱のそばが見切り席になっていて誰も座っていません。「見切り席」というのは柱などがあって視界が遮られている席でその席は販売していないのですが、コーナー付近が見にくいだけで、首を伸ばせばすべて見える席もあるのです。
というわけで、僕は上段の見やすい席でブラジル戦を観戦できました。