いよいよ、東京オリンピックが開幕する。開会式に先駆けて、前日7月23日にはサッカー男子日本代表が初戦を戦う。
17日には、大会前最後にして最高のゲームで準備を整えた。メダル候補である強国スペインと強化試合を行い、1-1で引き分けたのだ。
この試合から見えてきたものと、頂点へとたどり着くための道筋を、ヨーロッパ最高位の指導者ライセンスを持ち、チーム・個人のパフォーマンス分析のスペシャリストであるアレックス・ラレア氏に徹底アナライズしてもらった。(通訳/神蔵勇太)
メダル候補のスペイン相手の引き分けに、「善戦」ととらえる向きが多かった。
では、本番で東京オリンピックで顔を合わせた時に、引き分けたならばどういう評価をされるのだろうか。当たるならば決勝トーナメントになるわけで、90分間で決着がつかなければ延長、さらにはPK戦へともつれ込む。もしも、それがファイナルの舞台であったなら…。金メダルを獲得するためにはスペインを、あるいはスペインを倒してきたチームを、上回っていかなければならないのだ。つまりは、苦しい戦いを強いられようとも、勝ち切ることが求められる。
日本は守備に力を注がざるを得なかった。
「最終ラインの4人で中央を固めて、ウィングの選手たちがサイドまで下がり、6バックのような状況になっていました。FW1枚を前線に残して、中盤3枚を加えた<6・3>のブロックをつくりながらスペインの攻撃に対抗してはいましたが、スペインのボールの動かし方にずれをつくられてしまい、失点してしまいました」
スペインのようなチームを相手に、守り切ることは不可能なのだろうか。あるいは、他のベターな守り方があったのか。
「何が良い、あるいは悪いと言うのは難しいのですが、他の守り方をするならば、最終ラインをより高い位置に設定して、中のスペースを小さくするような守り方をしてもよかったかもしれません。アセンシオにしろダニ・オルモもラファ・ミルも、裏への抜け出しではなく、DFとDFの間の小さなずれをうまく使うのが得意な選手たちですから。最終ラインとゴールの間のスペースを広げることは、もちろん怖いし危険なことですが、スペインの選手たちは、そのスペースを使うのが得意なわけではありません。だから、そのようなプランも、選択肢のひとつとしてあり得るのかなと思います」