■日本社会に残るであろう反オリンピック感情
2020年大会は開催が1年延期されたものの、その後の日本政府の対応は後手に回ってしまう。どうしてもオリンピックを開催したいのであれば、感染対策をさらに徹底し、またなりふり構わずにワクチン接種を進めるべきだったのに、そうした対応はできないまま開催時期が迫ってくる。欧米諸国ではすでにワクチン接種が進み、大規模スポーツイベントも有観客で開催されるようになったのに、日本ではワクチン接種率は低いままオリンピック開催を迎えてしまったのだ。
そこに、IOCのトーマス・バッハ会長の日本人の感情を逆なでするような発言なども加わって、オリンピックに対する否定的な感情はますます高まっている。
こうした反オリンピック感情は2020年大会が終わっても、必ず日本の社会に残るだろう。これまで、世界で最も忠実にオリンピック・ムーブメントに賛同していた日本でも、これからはオリンピックやIOCに対する反感が高まるだろう。差し当たっては、2026年の冬季オリンピック招致の動きがあった札幌についても、反対の声が挙がるのではないか。