【EURO2020準決勝】イングランド対デンマークの激闘(1)「最後の交代」に見えた「揺るがないイングランド」の画像
イングランドが同点に追いついたオウンゴールの場面 左からケアー、スターリング、シュマイケル 写真:Maurizio Borsari/アフロ

UEFA EURO2020 準決勝 イングランドvsデンマーク 2021年7月7日(日本時間28:00キックオフ)】

 27分、ゴールキーパーのジョーダン・ピックフォードは722分というイングランド代表史上最も長い時間ゴールを許さなかった選手として歴史に名を残した。それまで721分という記録を持っていたのは、1966年にイングランドがワールドカップを制した時のゴールキーパー、ゴードン・バンクスだった。

 しかし、新記録の更新はその直後にすぐ止まってしまった。

 デンマークは、ここまで勝ち上がってきたという自信が、積極性を見せる追い風となっていた。シンプルに空きスペースへ進むことで、立ち上がりから試合の流れを握っていたが、30分、ミッケル・ダムスゴーアが見事な直接フリーキックで先制に成功。イングランドのホーム、ウェンブリーまでやってきた8000人のデンマークサポーターは歓喜に沸いた。

 このトーナメント初の直接フリーキックによるゴールは、ここまできてホームで負けるわけにはいかないイングランドを焦らせるのに十分なインパクトを持っていたが、ガレス・サウスゲート監督は大きな修正を加えず、スリーライオンズの選手たちも決して慌てていなかった。

 デンマーク同様、イングランドもここまで勝ち上がってきたことで自信を得ていた。個で勝る自分たちが慌てる必要はない、ということが共有されていた。

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