■どうしても開催するなら無観客しかない

 5月末から6月にかけてサッカーでは日本代表やUー24代表、女子代表の国際試合が続いた。来日したのは男女合わせて9つの海外の代表チーム。それに審判員などの関係者や日本代表の海外組なども含めて“来日”したのは数百人規模だったはずだ。日本サッカー協会は、それに対して万全の感染対策を施して一連の試合を開催した。

 しかし、各チームに次々と新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者が発生した。キルギス代表に至ってはGKの3人全員が「濃厚接触者」と判定されて出場不能となり、DF登録の選手がGKを務めるといった試合もあった。

 オリンピックでは来日するのは選手だけでも1万人以上となる。それに関係者(IOC役員、スポンサー関係者、報道関係者等)を含めれば10万人に近い人たちが来日する。

 感染者が出ないはずはない(すでに来日したウガンダ選手団で陽性者が複数出たことは広く報道されている)。

 それでも、選手たちの行動はある程度規制することができるだろうが、関係者のすべてが本当に行動制限に従うとは思えない。なにしろ、関係者というのは「スポーツ貴族」と呼ばれるIOC委員とか報道関係者など、世界で最も言うことを聞きそうもないわがままな連中である。

 あるいは、選手のPCR検査でも不正が行われないという証拠はない。ドーピング検査で国ぐるみの各種の不正が横行する時代であるのだ。

 要するに僕は東京オリンピックは本来なら「中止」か「延期」すべきであるし、どうしても開催するのであれば「無観客」にするしかないと思っている。

 1964年の東京オリンピックでサッカーの試合を初めて観戦して、その影響でサッカーにのめり込み、6600試合以上を観戦し、世界を放浪することになったという人間としては、再び東京で開かれるオリンピックは本来ならば楽しみだったのではあるが……。

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