大住良之の「この世界のコーナーエリアから」連載第64回「同点でも負け?――アウェーゴール・ルールの終了について」(3) トゥヘル、シメオネ、モウリーニョの批判の画像
ホームとアウェーはサッカー文化の一部だが 撮影/原壮史
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で、勝者はどっちだ。試合が終わっても勝ち負けがわからない! スコア上はイーブンになっても、複雑な計算方式で勝者と敗者が生まれるのがアウェーゴール決着だ。試合前には理解していたつもりでも、試合後、まわりの顔色をそっと窺ったりして。そのアウェーゴール・ルールが終了になりそうだ。それで、サッカーは面白くなるのかつまらなくなるのか――。

■守備的になりすぎたホームチーム

 そうした微妙な違いはあるものの、こうして「世界の常識」となっている「アウェーゴール・ルール」を、では、UEFAはなぜ廃止しようとしているのか。

 始まりは、多くの強豪クラブの監督たちからの批判だった。アレックス・ファーガソン、アーセン・ベンゲル、トーマス・トゥヘルディエゴ・シメオネジョゼ・モウリーニョらが、次々と「アウェーゴール・ルール」に関する不満を口にした。計算ばかりが先にたち、試合がつまらなくなったというのである。

 元来、「アウェーゴール・ルール」は、より攻撃的でファンが楽しめるサッカーを目指したものだった。2戦制の戦いでは、どうしても「アウェーで引き分け、ホームで勝つ」という考え方が主流になる。だから第1戦は、アウェーチームが守備的になり、自陣に引いて守りを固めるという形になる。アウェーチームにも攻撃のモチベーションを与えようというのが、「アウェーゴール・ルール」の目的だった。

 ところがこのルールが定着すると、こんどはホームチームが失点を警戒するあまり、守備的になる。とくにビッグクラブと対戦する弱小クラブは、ホームの第1戦で守備を固めて0-0の引き分けに持ち込み、アウェーの第2戦も再び守備を固め戦い、カウンターから1点を目指すというプランに陥りがちだ。

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