■あわただしい状況も万全にこなした

 その僅か1分後には、ビルドアップの途中でボールを奪われショートカウンターを受けると、最終的にボールはマルセル・ザビッツァーからバウムガルトナーへ。最終ラインにはデ・リフトとステファン・デ・フライの2人がいたが、その中央にスルーパスを出されてペナルティエリアに侵入され、キーパーとの1対1を迎えようとしていた。

 しかしここでデ・リフトが全力で戻りながら、スライディングでボールをそらすことに成功する。全速力で戻りながらのプレーとなったことや、ペナルティエリアの中であるということ以外に、相手が自分から逃げていく方向にトラップをしたということもあったが、正確無比な体の入れ方とタイミングでボールだけに触ってみせた。

 スライディングすることには、チャレンジ、という言葉を使うこともあるが、このプレーは慌ただしい状況にもかかわらず、決してチャレンジとは呼べない万全なものだった。

 そうして、個人レベルのプレーで危機を救うことで、チームは安定感を増す。

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