規格外の右サイドバックが帰ってくる。J1リーグにデビューした年に早くも世界から注目を集めて、優勝を置き土産に翌シーズン途中にドイツに旅立った男。フランスの港町のクラブに定住の地を見出すと、風の便りにその活躍は伝わって日本代表に召集、2018年のロシア・ワールドカップでは、4戦すべてに出場してベスト16に貢献した。酒井宏樹の復帰は、浦和レッズというクラブはもちろん、リーグ全体に大きな影響をもたらすかもしれない。
■大きく広がる浦和レッズの戦術的な可能性
その点、今シーズンヴィッセル神戸から移籍した西大伍に懸かる期待も大きい。開幕時には負傷で出遅れたが、ピッチに戻ってくるとたちまち持ち前の戦術眼を発揮して存在感を高めている。
そんな状況の中で、酒井という日本を代表するサイドバックが加入するのだ。
サイドバック使いの名手であるリカルド・ロドリゲス監督が酒井をどのように使いこなすのか。あるいは、リカルド・ロドリゲス監督の指導の下で酒井がさらに変貌を遂げていくのか。楽しみは尽きない。
浦和には5月にデンマーク代表のカスパー・ユンカーが加入し、その得点能力を如何なく発揮しているが、さらに同じデンマーク出身のセンターバック、アレクサンダー・ショルツも獲得。積極的な補強を進めている。
サイドバックとして絶対の強さを持つ上に、センターバックでもプレーできるのが酒井の強みだ(U-24日本代表のジャマイカ戦でもスリーバックのテストとしてストッパーで30分間プレーした)。そして、右サイドバックもしくは右ストッパーとして酒井がプレーするのであれば、西はサイドハーフやインサイドハーフでプレーできるはずだし、そこで酒井と西のベテラン2人の関係が構築されればさまざまな戦術的なオプションも生まれるだろう。
そうして、酒井がリカルド・ロドリゲス監督が目指すであろう可変システムのサイドバックという役割をこなすようになれば、酒井自身の戦術的なオプションもさらに増えるはずだ。