チャンピオンズリーグが終了し、クラブレベルでのヨーロッパのシーズンが終了した。今週末からは昨年から延期になっていた欧州選手権が開幕するが、クラブも休む暇なく水面下で動き続けることになる。新シーズンへ向けての準備である。
各国の動きを見るに、なかなかに忙しそうだ。選手の移籍市場はまだオープンしていないが、すでにホットな話題を振りまいている分野がある。監督人事だ。
ヨーロッパの5大リーグを見ると、実に3カ国で優勝チームが監督交代という難問に直面する。ただし、クラブ、リーグごとに事情はさまざまだ。
リーグアンを制したクリストフ・ガルティエ監督は、優勝決定の2日後にリールの監督を辞した。現在は、フランス国内の他クラブでの挑戦が噂されている。ちなみに後任候補に挙がっているのは、1998年に地元開催のワールドカップで初優勝を果たした元フランス代表MFパトリック・ヴィエイラだ。
リール以上にインパクトがあるのが、セリエAを制したインテルのアントニオ・コンテ監督の退任だ。2位のミランに勝ち点12差をつけて11年ぶりのスクデットをもたらした指揮官が去るのだから、周囲は落胆したことだろう。
いや、コンテの退任理由の方が、ファンにとってはショックだったかもしれない。引き金となったのは、「カネ」である。
シーズン中の5月には会長の張康陽氏が、財政難を理由に選手、スタッフを含めたクラブ関係者全員の給与減額を提案したという。当然そこにはコンテも含まれ、1200万ユーロ(約16億円)と言われる年俸の減額のみならず、この夏に8000万ユーロ相当の選手を売却するプランも明かされた。当然、国内タイトル奪還をバネに欧州でも躍進を狙いたい指揮官が受け入れるはずもなく、行きついた先は契約解除だった。