川崎の鬼木達監督も時計を気にせずにはいられなくなっていた。
長野のGK田中謙吾が守るゴールマウスには何かバリアが張られている印象さえあった。田中は今季初出場だった。
長野は前半42分に藤山智史がきれいなミドルシュートを決めて先制した。
後半は、川崎がどうにかするだろうと思ったが、流れは変わらなかった。長野は持ちこたえて、夢のような勝利に、あと数分のところまで来ていた。
ロスタイム、川崎は橘田健人がやっとゴールにかかった錠前をこじ開けて追いくことができた。
ハーフタイムに鬼木監督は「120分も想定している」と選手に語ったという。
その延長戦、レアンドロ・ダミアンや小林悠がゴールに闘志を燃やすが、田中が躍動していた。
背に腹は代えられずと、ダミアンはペナルティエリア内でダイブを披露するも、レフェリーに無視された。倒れたダミアンの演技は長く続いたが、イエローカードは出なかった。