■メンバー入れ替えが功を奏した

 しかし、その地力でタジキスタンを上回っている日本は、思うようにいかない中でも勝ち越しゴールを決めて前半のうちに再びリードを奪うことに成功する。するとリードしたことが選手たちに安定をもたらした。

 メンバーを入れ替えた試合は、チームとして結果を残さなければならないことはもちろんだが、貴重なアピールの場でもある。選手たちは連携面を気にしすぎて、そのことに対しても後ろ向きになってしまっていたが、リードしたことでそれを思い出したかのようにどんどん自分の良さを出そうとするようになっていった。ハーフタイムに選手の配置が修正されたことももちろんあるが、原口と南野という常連2人が退いたこともその傾向に拍車をかけたと思われる。

 初スタメンだった川辺駿も、そうした1人だった。

 前半は守備全体のバランスや橋本拳人との関係性を気にしすぎてしまい、バランサーのプレーにとどまった。自陣での守備やどうにか攻撃をスムーズに進めようとパスを捌く姿は決して悪くはなかったが、パスの中身は控え目に足もとへ出すものが多く、持ち味である自らスペースを利用して推進力となる動きは影を潜めていた。

 しかし、後半には存在感を増していくことに成功した。足もとにではなく味方を走らせるパスを出すようになり、スペースに入り込んで前進していくプレーも見せるようになった川辺は推進力になっていた。

PHOTO GALLERY 日本対タジキスタン戦での写真 20210607
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