■同じシステムでもより「積極的にタテへ」

 高木監督は1日からトレーニングで指揮を執り、5日のホームゲームに臨んだ。迎えたのは長崎である。松田監督の就任後は4勝1分と本来の姿を取り戻し、7位まで順位をあげているJ1昇格候補だ。

 前監督の指揮下と同じ3バックで臨んだが、選手の立ち位置は変わっていた。3-5-2から3-4-2-1へ変更し、守備の局面では5-4-1とする。そのうえで高木監督は、球際の攻防に激しく、切り替えに早い姿勢を植えつけていった。

 しかし、0対1の敗戦に終わる。16分、ペナルティエリア内左でボールを失い、ゴール前にフリーで詰めたエジガル・ジュニオに難なく押し込まれてしまった。きっかけは左ウイングバック舩木翔のクリアを、相手FW都倉賢にスライディングで奪われたことだった。アンラッキーともとれる。同時に、両チームの勢いがそのまま出た場面とも言えた。

 公式記録にはシュート相模原13対長崎3、CK相模原14対長崎2の数字が残る。いい守備からいい攻撃へ、という狙いは徹底されていた。カウンターでもう少し攻撃に人数を割ければ、という局面はあったものの、高木監督が選手たちに強調したいと話していた「タテへの意識」は表現されていた。

 試合後の高木監督も、「守備、攻撃ともに我々が目ざしたいものは出してくれた」と総括した。結果はついてこなかったものの、変化の兆しが読み取れるゲームである。

 現場主義を貫いてきた指導者キャリアでは、今回の相模原と同じようにJ2昇格初年度の長崎を率いたことがある。13年のシーズンで、保有戦力を巧みに使いこなして6位に食い込んだ。

 今回はシーズンの3分の1強が終わってからの就任となったが、J2残留圏内との勝点差は絶望的なものではない。客観的に判断して、巻き返しは十分に可能だ。高木監督は落ち着いた口調で語る。

「最後はサポーターの皆さんと笑顔で終われるようなシーズンにしていきたい。皆さんの気持ちを切らせないような戦いをしたい」

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