【久保建英】劇的ゴールの裏側(1)薄氷だった「残留弾」鮮烈左足ミドルの価値の画像
レバンテ戦のゴール後にユニフォームを脱いだ久保建英 写真:MarcaMedia/アフロ

【ラ・リーガ ヘタフェvsレバンテ 2021年5月16日(日本時間25:30キックオフ)】

 追いかけてくる青いユニフォームを躱して久保建英が走る。しかしとうとう捕まった。

 背中に飛び乗ったのは盟友クチョ・エルナンデスだ。興奮状態の背番号5を捕まえた歓喜の輪は一瞬で大きくなり、ホセ・ボルダラス監督もそれに参加した。

 84分、レバンテのゴールキーパー、ダニエル・カルデナスのキックミスに素早く反応した久保が、ハーフウェイラインから一気に前進してボールを確保。

 慌ててゴールまでの直線コースを塞いだホルヘ・ミラモンを細かいボールタッチとボディフェイントで翻弄し、ペナルティエリアに入る直前で、ゴールとは逆方向にボールを持ち出しシュート。ゴールネットが揺れ、ヘタフェの1部残留が濃厚になる勝ち越しゴールが記録された。

 残り2試合となっていたリーガは今節、全試合が同時刻にキックオフされた。1-1で迎えた56分、エネス・ウナルを下げてアラン・ニョムを投入したヘタフェの狙いは、このまま負けずに試合を終え、勝ち点を35とすることだった。

 エルチェはカディスに先制を許しており、このまま終われば勝ち点は30。ソシエダに対して前半で4点を失ったバジャドリーは勝ち点31のままで終えることが濃厚だった。エイバルもバレンシアを相手に4失点で勝ち点は30。この試合が終わればあとは最終節のみ。

 35にしてしまえばヘタフェは降格を回避できる、という予定だった。
 
 58分、カディスの地でエルチェが同点ゴール。引き分けでも31にしかならず大丈夫だったが、64分に逆転に成功すると話が変わってきた。

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