■神戸は全力を尽くしている

 リーグタイトルの行方は川崎の独走状態になってしまっているが、神戸にはACL出場、そしてアジアナンバーワンクラブになるという目標がある。

 それ自体は2018年から掲げていることだが、昨年、実際にアジアの舞台で戦うという経験をしたことで、それが単なるスローガンや夢物語ではなく現実のものとしてチーム全体に認識されたのだろう。若い選手たちはその舞台が自身を大きく成長させてくれるものだということを知ることにもなった。再びあの舞台に戻るためにどんな試合でも最後まで全力を尽くす姿が今年の神戸にはある。

 一致団結している今年のチームを象徴しているのがセンターバックコンビだ。確かな実力とキャプテンシーでチームを引き締めるワールドクラスの助っ人であるフェルマーレンと、成長著しく、気持ちを誰よりも全面に押し出す菊池流帆

 好守で前に出ていく積極的な姿勢、繋ぐことを目指すプレー、諦めない気持ち。助っ人と日本人が同じことを同じ姿勢で取り組み、同じ目標に向かって戦う彼らは今年の神戸全体の様子と重なる。

 フェルマーレンは試合後「勝者のメンタリティーというのは諦めない姿勢からくる」「諦めない気持ちは良い形でチームに出てきている」と述べた。この試合の同点ゴールが生まれたのも、菊池が必死にヘディングでボールを繋いだことからだった。

 一致団結を果たした神戸はここまで6勝6分2敗。簡単に負けないチームが4度勝ち取った1ポイントは、最後にACL出場に結びつくかもしれない。

 

■試合結果

ヴィッセル神戸 1―1 セレッソ大阪

■得点

75分 坂元達裕(セレッソ大阪)

90+6分 トーマス・フェルマーレン(ヴィッセル神戸)

PHOTO GALLERY 神戸対C大阪戦での写真 20210515
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