「フランクフルト」37歳・長谷部誠に漂う「停滞」の暗雲(2) CL出場へのカギは「キャプテンシー」の画像
フランクフルトの長谷部誠 写真:picture alliance/アフロ

ブンデスリーガ アイントラハト・フランクフルトvsマインツ 2021年5月9日(日本時間22:30キックオフ)】

※その1はこちら

 たとえとしてふさわしいか分からないが、ある企業の会社員が、とある部署で一丸となってビッグ・プロジェクトに取り組んでいたとする。メンバー間の結束は固く、モチベーションも高い。ところがプロジェクトの完成間際、ある日突然、チームをまとめてきたボスが会社を辞めると言う。さらに転職先は、同じ業界のライバル企業だというのだ……。

 いくらこれまで共に汗を流し、濃密な時間を過ごしてきたとは言え、いや、共に汗を流し、濃密な時間を過ごしてきたからこそ、その会社員は失望するのではないか。ボスから「プロジェクトが完成するまでは残るから」と言われても、モチベーションを高く維持するのは難しいだろう。なにせ今の会社、プロジェクトで培った実績を持ってライバル企業に移るのである。

 いくらプロ・サッカーの“チーム”と言っても、身も蓋もない言い方をすれば、個人事業主の集まりなので、一度失った結束を取り戻すのは会社員のそれより難しいかもしれない。それでなくても毎年のようにメンバーが入れ替わるのがサッカーのチームである。

 よって今のフランクフルトの状況で問われるのは、1人のサッカー選手としての勝敗へのこだわりや責任といった、個人レベルでのモラルのようなもの。そう言った意味では、長谷部のような責任感が強く、来季もチームに残る選手は最後まで戦うに違いない。しかし、コスティッチのような周囲の雰囲気の影響を受けやすい選手、アミン・ユネスやルカ・ヨビッチのようなレンタルで加入中の選手や、シウバのような結果を出してステップアップが間違いない選手にとっては、かなり難しい状況なのではないか。

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