■「eスポーツを盛り上げていく」

 優勝決定直後のライブ配信でのインタビューを、Aguはこう締めくくった。

「まだまだeスポーツが日本では普及していない現状だとは、自分たちプレーヤーが一番感じていますが、こうやって本気でやっているというのを見て、体感してもらって、少しでも面白いと思ってもらえたらうれしいです。もっともっと日本でeスポーツがはやっていったらいいなと思いますし、自分たちも盛り上げていけるように頑張るので、引き続き応援をよろしくお願いします」

 選手たちは口々に、eスポーツの認知度を高めていきたいという思いを語っていた。特に、前述のAguの言葉は、リアルサッカーで日本が初めてワールドカップ出場権を勝ち取った日のことを思い出させた。

 1997年11月、アジア地区第3代表決定戦で、日本は延長戦の末にイランを3-2で下し、フランスW杯行きを決めた。いわゆる「ジョホールバルの歓喜」と言われる試合の後、主役の一人だった中田英寿はこう語ったのだ。

「代表はうまく盛り上がったので、あとはJリーグをどうにか盛り上げてください。よろしくお願いします」

 Jリーグが始まるまでは、日本でプロ選手になる自分をなかなか描けなかった。W杯出場も遠い、遠い夢だった。

 その頃のリアルサッカーの選手たちのように、世界への扉を開いた新たな挑戦者たち。さらに地平線を押し広げていくつもりだ。

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