■楽しかったスペインとの駆け引き

 各国、代表選手の戦い方はさまざまだ。サイドアタックを得意とするチームがあれば、得意のドリブルに固執する相手もいる。あるいは、相手の焦れや隙が生まれるのを待つように、ひたすら最終ラインの前で2選手のパス交換を続けるプレーヤーもいる。

 また、攻撃から守備、セットプレーに至るまで細かくチームの約束事を決められる。普段から他の大会で対戦している選手も多く、練習試合をすることもある。そうしてお互いの戦い方が分かるため、読み合いや駆け引きの要素はさらに強くなる。

 試合が始まっても、まずは相手の出方を見て、戦い方を見極める。この大会でも、試合中のフォーメーションや戦術、選手の変更が大きく流れを変える試合が少なくなかった。リアルサッカーと同じ世界が、eスポーツには詰め込まれている。

 韓国との準決勝第2戦で勝利して、Aguの第3戦へつなげたJayは、こう語る。

「サッカー観戦が大好きで、そこから戦術とかリアルサッカーの動きを学んで、相手が混乱するような攻撃や、守備なら本当にどこにポジションを取れば守れるのか、誰がプレスに行って誰がカバーするのかを学んでいます。本当にゲーム要素はほとんどなくて、基本的に頭の中の8割くらいは、リアルサッカーの思考でやっています」

 そう話すJayは、本大会でスペインと対戦してみたいのだという。以前に戦った際の、戦術的な駆け引きに大きな魅力を感じたからだ。

「僕が3-4-2-1(のフォーメーション)を使っていて、相手の4-2-3-1がポジション的にはかみ合っていなくて、僕のシステムがうまくはまっていました。すると相手のスペイン人選手がコーチと話し合って、セカンドレグでは使い慣れていない3-4-2-1に変えてミラー対決を挑んできました。ファーストレグでは大差で勝っていたのですが、盛り返されました。考えて、相手を見て対策を練って、自分の色を出すというのは、本当にリアルサッカーと同じ考え方だなと思いました。それに、相手はやはりリアルサッカーと同じように、丁寧につないでボール保持の時間を長くして、圧倒しようとしてきました。実際のスペイン代表と似通う部分があって、また対戦したいと思いました」

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