■僕が「ブライ派ジャーナリスト」になったキッカケ

 ワールドカップといえば、こんな事もありました。

 2010年の南アフリカ大会のメインスタジアム、サッカー・シティ・スタジアムのメディセンターでもやはり食事ができましたが、例えばマッシュドポテトにスープをかけたようなつまらない食事ばかりでした。

 同じヨハネスブルクでもダウンタウンにあるエリスパークなら、スタジアムの外にピザ屋なんかが並んでますから外で買ってくるという方法もあります(治安の悪いヨハネスブルクですから、スタジアム外に出るのはおっかなかったのですが……)。また、地方都市ではスタジアム前の屋台で美味しいソーセージなんかを食べられました。しかし、サッカー・シティは荒野の真ん中に建っていて、外に出ても広大な駐車場が広がるばかりなので、メディアセンターでの食事で我慢するしかありませんでした。

 ある日、何の用事だったのかよく覚えていませんが、同じ敷地内にある国際放送センター(IBC)に行ったのです。そうしたら、なんとバーベキューをやっているではありませんか! 南アフリカ式のBBQは、現地のアフリカーンス語で「ブライ(Braai)」と言います。牛肉、豚肉、鶏肉、各種ソーセージをジュージューと焼いていて、チケットを買えばその中から好きなものを3種類選んで、快適なテラス席で食べられるのです。しかも、メディアセンターの食堂と値段は一緒です!

 なんたる格差! まあ、テレビ局は高額の放映権料をFIFAに支払っているわけで、何もお支払いしていないフリーランスの記者が冷遇されても仕方ないのでしょうが……。

 その後は、僕はこのスタジアムで食事をするときは毎回IBCまで通うことに決めました。こうして、僕は「ブライ派ジャーナリスト」となったのです。

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