後藤健生の「蹴球放浪記」連載第57回「世界サッカー取材グルメ ブライ派と呼ばれるようになった理由」の巻(2)の画像
第3位 カレーが美味しいラジャマンガラ・スタジアムでのアジア大会開会式 提供:後藤健生
全ての写真を見る

※第1回はこちらより

久しぶりにサッカー愛好家にグルメな情報をお届け。さてさて、世界各国のメディアセンターでご馳走が振舞われていることを知る人は少ない。そこで今回は、“世界メディアセンター食グランプリ”を自主的に開催。いかに食いしん坊なジャーナリストが忙しさをかいくぐって各国の郷土料理と地酒を楽しんでいるかをご紹介――。

■いよいよ栄えある第1位の発表です

 さて、“メディアセンター食グランプリ”の栄えある第1位に選んだのは、ブリュッセルのボードワン国王スタジアムです。あの「ヘイゼルの悲劇」(1985年5月のチャンピオンズカップ決勝での群衆事故。39名が死亡)で有名なスタジアムですね。事故の後、スタジアムは全面改築され、忌まわしい記憶を振り払うかのように「ヘイゼル」の名を捨てて「ボードワン国王スタジアム」と呼ばれるようになりました。ベルギー代表のホームゲームのほとんどがここで行われます。

 そのメインスタンドの記者席の下にあるプレスセンター。試合当日は、ここにケータリングで取り寄せた美味しい料理が並ぶのです。パスタやスープ類のほか、チーズや生ハム等々種類が豊富で、しかもどれもかなり高級です。後からどんどん追加されるので、品切れになることもありません。

 ただ、プレスセンター自体が狭いので各国記者が詰めかけるとかなりの「密」になってしまい、狭いテーブルで食べなければならないのが欠点ですが、それでもやはり味という意味でここがナンバーワンです。

 日本代表も、2013年と2017年の秋にベルギー遠征を行っています。2013年の点の取り合いとなったベルギー戦(3対2で日本が勝利)はこのスタジアムでした。2017年のベルギー戦はブリュッセルではなくブルッヘ(ブリュージュ)で行われましたが、その前に日本がフランスのリールでブラジルと対戦した日の夜にベルギー対メキシコ戦があったので、ブラジル戦の後急いでブリュッセルまで移動して、しっかりと美味しい料理をいただきました。

 残念ながら、日本にはスタジアムで食事を提供するという習慣はないようです。

 2002年の日韓ワールドカップの時も、メディアセンターで売っていたのは普通のコンビニのおにぎりやサンドウィッチでした。せっかく、世界中から多くの記者が集まるのですから、各都市の郷土料理や地元の地酒でおもてなしすべきだったでしょう。今後、日本で国際大会を開催する時にはぜひ検討してほしいものです。

PHOTO GALLERY 全ての写真を見る
  1. 1
  2. 2