■「予定通りの45分出場」は「予定外のタイミング」に
今季、セレッソに復帰した大久保は間違いなくこのチームのエースだ。ここまで12試合に出場して5ゴールのチーム得点王であるだけでなく、前線で相手ディフェンダーを引き付けることができる。そのことで中盤にスペースができ、さらに、マークをひきつけながらも裏に抜けて脅威を与える。この試合では、ガンバ相手に通算14得点を奪ってきた実績を見せてくれるはずだった。そんな点取り屋が、序盤で不在となってしまったのだ。
この交代は、レヴィー・クルピ監督の戦術プランを狂わせた。大久保を引っ張れるだけ引っ張って、FWタガートを出場させるはずだった。このオーストラリア代表のストライカーは、まだチームに合流したばかりで、コンディションを徐々に上げる必要があった。大久保が負傷するや、クルピ監督が時間をかけてタガートに説明していたのは、そうしたプランと関係があるだろう。
そのタガートは緊急出場ということもあって積極的なプレーこそ見せたものの、無得点のまま63分に途中交代する。出場時間は40分。不完全燃焼だった。
「当初、45分の予定で考えていました。メディカル的な部分もありますが、日本に初めて来て、いろいろな環境が変わった中で、これから日本のサッカーに順応していくためにも、今日は45分くらいの出場がベスト」
コンディションを考えれば当然だろう。しかし、交代枠を別に使うことで、ピッチの選手をよりフレッシュにできた可能性もある。そういう意味で、指揮官は選択肢を狭められたことになる。