■オリンピックとワールドカップとの大きな違い

 このように、オリンピックのサッカー、とくにグループリーグは、「名前」では予測がつかない試合になる。だからすべてが「死の組」であり、またひっくり返せば、「死の組などない」とも言えるのである。

 私は、日本以上に韓国を危惧している。韓国は昨年1月にタイで行われたU−23アジア選手権で優勝、欧州で活躍する選手も何人か含まれており、金鶴範(キム・ハクボム)監督はオーバーエージとしてトットナムの孫興民(ソン・フンミン)を招集する考えも明らかにしている。2012年のロンドン大会で日本を下して銅メダルを獲得したことを踏まえ、「金メダル」の声が、日本のように監督の口からではなく、メディアから上がっている。

 そのうえに今回の抽選での「楽勝ムード」である。ニュージーランド、ルーマニア、ホンジュラスとの対戦が楽であるわけがない。初戦で快勝して波に乗れば本当に楽勝でグループを突破してしまうかもしれないが、目の前の相手を見ず、準々決勝以降にばかり気持ちが飛んでしまうと、足元をすくわれることになりかねない。ここはメディアが引き締めなければならないところだが、逆に「楽勝ムード」を煽っているのが、本当に気になるのである。

 今回のオリンピックで日本代表(U−24日本代表)を率いる森保一監督は、早くから「金メダルを目指す」と公言してきた。それは、オリンピックのサッカーが、ワールドカップとはまったく違い、「名前」では測りがたいことを理解しているからこその言葉だ。しっかりと準備し、チーム一丸になって戦えば、上位進出は無理な話ではない。そして上位に上がったときにどんな相手にもひるまないチームをつくっておけば、優勝の可能性はゼロではないのである。

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