■厳しい財政事情

 次に、「コロナ禍での財政圧迫」だ。

 レアル・マドリーの2020-21、シーズンの予算は6億4100万ユーロ(約820億円)だ。前年比14%減で、非常に苦しい状況に置かれている。

 この4年間、マドリーの予算は右肩上がりだった。だが今季のそれは2015-16シーズンの予算額とほとんど同額になっている。

 また、マドリーと同様に、スーパーリーグに残っているバルセロナも厳しい財政でのやり繰りを強いられている。パンデミックがなければ、バルセロナは2019-20シーズンに10億4700万ユーロ(約1290億円)の予算を計上するはずだった。それはクラブ史上最高額のものだった。

 だが実際は19-20シーズンの予算(8億5500万ユーロ/約1080億円)、20-21シーズンの予算(8億2800万ユーロ/約1060億円)と数字は落ち込んでいる。

 この2クラブが、いまもなお、スーパーリーグからの脱退を表明できないのには、そういった背景がある。

 加えて、バルセロナはリオネル・メッシ、マドリーはセルヒオ・ラモスが今季限りで契約が満了する。象徴的な存在である2選手が、シーズンが間もなく終わろうとする頃に、未だ契約延長にサインをしていない現実がある。

 スーパーリーグは、参加するチームに、参加の段階で3億5000万ユーロ(約446億円)の収入がある。これが魅力的ではないと言い切るのは、難しいだろう。

 夢はお金で買えない。まったくもって、その通りだ。筆者も感情的にはスーパーリーグに反対だ。しかしながら、ペレス会長が言うことにも一理あると考えている。プロスポーツの世界で、お金を生み出していけなければ、継続的な発展は困難だ。

 チャンピオンズリーグの新たなフォーマットでは、解決にならない。それがペレス会長の考えだ。パンデミックがいつまで続くか分からない状況で、対案が示されない限り、闘争は続くだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4